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幻想図書館(第七幕)

幻想図書館、新たに現れた存在"館長"。
彼女は一体...?
そして司書との関係。
一体何だろう?

幻想図書館の秘密を一部、今回ご案内します。

では、どうぞ!


ここはとある貴族の屋敷。
しかし、主である人物はこの屋敷に近づかず、この家には貴族の娘が一人。
そしてその身の回りを世話する老執事と娘と年の近いメイドの計三人がいるのみだった。
曰く、『この娘が病弱で政略結婚の材料にも仕えない、だからと言って世話をしないわけにもいかない。
故に数ある屋敷の内一つに閉じ込めている。』と。
彼女にとってこの屋敷は牢獄でもあるのだ。

病弱で外に出る事も少ない彼女は唯一つ、外の事を知る事が出来る材料として"書"を選んだ。
"書"ならば例え自分が外に出なくても、外の景色を感じる事が出来る。
また、自分は病弱で外にも出る事が出来ないが"書"の中の主人公に自分を重ねれば自分は英雄にも魔法使いにもなれる。
色々な"書"に触れ、少女は更に"書"の世界にどんどんとのめりこんでいく。

「さぁ、お嬢様!
 新しい一日の始まりですよ!...ってまた、読書ですか!?
 暗い場所で本を読むと目が悪くなるとあれほどお爺様もお諌めしてるのに!」
「...良い。
 好きな本を読んで、好きなように生きるの。
 それだけが、私の楽しみなんだから。」
「お嬢様!
 小さい時分より供をさせて頂いた身分故に申し上げますが...。
 もっとご自愛なさい!
 お身体の事を気にされているのなら、見返してやるくらいに強くなりなさい!」
「...こんな時だけお姉さんぶって...。
 嫌いだ...。」
「私を嫌いになる事でお嬢様が元気になるなら嫌われましょう!
 さ、朝ごはんですよ!」
着付け等を済ませていくメイド。
「コホッコホッ...」
「お嬢様!?
 お薬をッ」
「良いの。
 少し、咽ただけだから。
 徹夜したのが、良くなかったみたい。」
「だから言ったのです!
 今日からは徹夜は厳禁ですよ!?」
「いいじゃない...。
 減るものでもなし...。」
「お 返 事 は !?」
「...はい...。」
食堂へ入る二人。
屋敷にいる人数と少女の希望から、食事時は皆で平等に取る事になっている。
「お嬢様、おはようございます。
 如何でしたかな?
 昨日取り寄せた本は。」
「ん...。
 凄く...面白かった。
 はやく、続きが読みたい。」
「おぉ、それは良かった。
 では続刊も早速手配いたしましょう。」
「お爺様!
 お爺様がそんなだからお嬢様が徹夜で本をお読みになるのよ!
 お嬢様の体調を損ねるような事があると...私が許しません!」
「おぉ、お嬢様。
 申し訳ございません。
 孫にあのように言われると私としても、困りますなぁ。」
「...解った。
 次からは徹夜しない。
 だから...続きを用意...して?」
「かしこまりました。
 では、そろそろ朝ごはんの時間に致しましょう。
 ごはんの後には、お薬ですぞ?」
食後は昼食までは自室で読書。
昼からは執事かメイドが教師として勉学の時間。
こうした日常を少女は過ごしていた

しかし、そうした日常は突如として終わる。
「コホッコホッ...?
 ぅ...!?
 ッ...発作...がッ...!?」
薬を飲もうとするも今日の分はさっき飲んでしまったばかりだったのを思い出す。
「じ...爺...ッ
 す...鈴...を...。
 ゴホッゴホッ」
呼び出しの鈴を取ろうと手を伸ばそうとするが、身体がいう事を聞かない。
「そん...な...
 身...体まで...。」
徐々に少女の意識が遠のく。
「(そんな...嫌だ。
  私は、もっともっと"書"を読みたい。
  これまでの、そしてこれからの"書"も...!!
  その為には全てを棄てても良い!
  私に..."書"をッ!!)」
そう強く願った。

次に気付いたときに少女は自分がいつもの部屋にいない事に気付く。
「ここ...は...?
 わた...しは...生きて...る?」
そこは見渡す限り本棚が並んでいる場所だった。
-コツッコツッコツッ
誰かが近づいてくる音がする。
「ッ!」
本棚の陰に隠れる。
その時今まで感じた事のない身軽さを感じた。
-コツッコツッコツッ
それはタキシードを着た、上品な老人だった。
少女の姿を確認した老人が驚いた表情を向ける。
『ほっほ...
 どんな人間が現れたかと思ったら、このようなお嬢ちゃんとは...。
 ほっほ...』
「ここは...どこ?
 それと、貴方は...。」
『おぉ、失礼したね。
 ここは"幻想図書館"。
 私はそのまぁ...職員みたいなものかの?
 ここはの、古今東西のあらゆる"書"が収められておる図書館なんじゃよ。
 あぁただし、誰でも入れる図書館ではないぞ?
 選ばれた者だけが入れる図書館なんじゃ。』
「どうして、私が...そんな所に...?」
『お嬢ちゃん、お主は願ったのだろう?
 "書"が読みたい。
 全ての"書"を。
 これまでの、そしてこれからも...とのぉ?』
「それは...。
 願った...わ...。」
『そして...続けたのぉ?』
「『その為には全てを棄てても良い。』」
老人は確認するように。
少女はもう一度その意思を示すように。
同時にその言葉を述べた。
『ほっほ...。
 お嬢ちゃん、その意味が解っているのかの?
 お主は自分の存在だけでなく、その他全ての存在も棄てるという事を言っておるのじゃぞ?』
「解って...いるわ。」
『全てを棄てる、と言えば聞こえはいいがの。
 お主は全てを生贄に捧げて、「自分だけが人とは別の存在になる。」事を選ぶのじゃが。
 本当にその意味を解っておるのか?
 友であったメイドも、
 実の親以上にお主に親身になっていたあの老執事も、
 守られていた自分そのものも、
 あの豪勢な屋敷も、
 人間として生きていた存在も、
 全て...じゃぞ?
 解っておるのか?
 ん?』
まるで脅すかのように念を押して確認を取る老人。
「......。」
その老人の目を真っ直ぐ見据える少女。
『さぁ、お嬢ちゃんや
 お主は自分の身の回りの人間や自分までも犠牲にしてもまだ、"書"を求める気持ちはあるのかね?』
一拍置いて少女は淀みなく答える。
「...私は...あらゆる"書"を読んでみたい。
 これまでの"書"も、そしてこれからの"書"も。
 その為に、全てを犠牲にする覚悟はあるわ!
 爺やあの子、そして私を犠牲にしても!」
その回答を受け、老人は微笑む。
『ほう...。
 素晴らしい。
 その年でそうまで。
 ホッホッホ...
 宜しい。
 では今からお嬢ちゃん、今からおぬしがこの"幻想図書館"そのものになるんじゃよ。』
老人が少女の手に何かを握らせる。
それは...小さな銀の鍵だった。
『それは"幻想図書館"の館長室の鍵じゃ。
 お主はこれで、死ぬことも無く、老いる事も無く永遠に書を集め、読み、案内していくのじゃよ。
 ワシは...ここで消えるがワシの記憶そのものはお主のものになる。
 では、任せたぞ。
 ホッホッホッホ...』
老人の姿が煙のように消えていく。
そして、少女の手の中には老人から受け取った銀の鍵が。
「...私が...この図書館の館長...?」
鍵が鈍く光る。
目の前に突如、扉が現れる。
『さぁ、館長室へお入り。
 ホッホッホ...。』
老人の声が頭の中に響く。
「...ッ」
"館長室"に足を踏み入れる。
途端に何かが身体の中に入り込んでくるような違和感を感じた。
「...!?
 何ッ!?
 ぅあああああああああっ!?』
同時に膨大な情報も頭の中に流れ込んでくる。
-幻想図書館の役割。
-幻想図書館の目的。
-幻想図書館の役目
-幻想図書館の目録
-そして、禁書と言われる目録。
膨大な情報が少女の頭の中を駆け巡り、耐え切れず少女は倒れる。
-暫くして"少女"いや、当代の幻想図書館館長が立ち上がる。
『なるほど、ね。
 この図書館は、私のためでもある。
 しかし、真に書を求める者の為にもあるわけ、ね。』
独白するように呟く少女。
しかし当然誰の返答もない。
『ま、私は私のやりたい様にするわ。
 何故今までの館長はこの方法を考えなかったのかしら?』
少女は部屋を見渡し、移動する。
部屋には長机があり、その脇に大きな姿見があった。
その中に映る姿、それは老人と同じタキシード、シルクハットを着た姿の自分だった。
『フ...フフフ...。
 だって、私には"書の管理・蒐集"もあるじゃない?
 役割の分担をしたって...いいじゃない?
 ねぇ?』
-パチッ
少女が指を鳴らす。
老執事には良く、「行儀が悪い」と怒られたものだ。
しかし、この癖をつけたのは自分の孫たるメイドなのだが。
その事を思い出しながらクスクス笑う少女。
やがて、少女の前に"生贄にされた"二人の姿が。
少女がその関係・存在全てを生贄に捧げた際に真っ先に挙げられた二人だ。
老執事、メイドはその直前まで"存在"すら生贄にされていた。
そこから再構成された形だ。
その二人に少女は冷たく告げる。
『我はお前たちを生贄として幻想図書館館長となった。
 我は命ず、執事よ、メイドよ。
 我が命に従い、この図書館で共に過ごしなさい。』
生贄にされても老執事は何も言わなかった。
むしろ、初めての"目的"が主に芽生えた事のほうが嬉しいのだ。
「仰せのままに、お嬢...いえ、館長。
 私めは司書の役目を全うさせていただきましょう。」
メイドも実の祖父である執事の考えに賛同し、また、小さい頃から一緒に過ごしてきた妹の成長を見るようで嬉しくなった。
「私もお手伝いしますわ。
 フフフッ」
二人の反応に嬉しさも込めて少女は微笑む。
『さぁ、暫くは退屈はしないけど、どんどん書は生まれていくのよ。
 私に...幻想図書館に書を!
 ウフフフフ...。』

ここに新たな幻想図書館の一幕が開幕する。

-了-
といった内容ですが、実は今の幻想図書館の話なんですよね。
所謂、「終わりであり、始まり」みたいな展開を考えて書いてみました。

いやしかし、今年に入ってから結膜炎→インフルエンザとなんともはや...orz

皆様もご自愛くださいませ。

そしてインフルエンザで寝込んでいる間に20,000Hit達成いたしました!
これからもお楽しみいただけるSSを挙げるべく日々精進してまいります!

-おしたり@厄年はまだです。
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プロフィール

忍足誠

Author:忍足誠
厨二病真っ只中。 ラノベを読んだり、SS書いたりして日々自堕落に生きてます。 魔物娘・悪堕属性大好き。 こっそりオーディオ属性あり。
なお、アイコンは左藤空気先生より使用許可をいただいております。
Twitterアカウント:M_oshitariです。

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